体臭にはいくつもの種類があります。ワキガ、加齢臭、ダイエット臭、口臭、ミドル脂臭などなど、内容的に重なるものまで挙げていけば、十やそこらはすぐに出てくるでしょう。
そんななかで、意外に見落とされているのが、顔面から出る悪臭です。
顔が臭い症状と原因
もちろん、顔面が臭いといっても、口臭をそう感じる場合もあれば、加齢臭の場合もあります。ここで採り上げるのは、顔面の皮膚(皮脂)そのものが発生源になっている悪臭です。
みなさんが知っているような名前がまだないぐらいなので、注目されることも少ないです。しかし、かなり強烈な臭いを放っています。それも、30歳に入ったぐらいから始まることが多いようです。
これは深刻です。もちろん人付き合いに影響し、特に異性と大接近したときに、相手の鼻にガツンと入ってしまうことになります。
顔面自体が臭い原因
この臭いのもとになっているのは皮脂です。
ただし、単に皮脂だけでは臭いません。また、皮脂はどんな人も一定量は出して肌を守っています。皮膚をカバーして、水分が蒸発しすぎないようにしたり、暑い・寒い、摩擦、ウイルス・病原菌などから守っていて、なくてはならないものです。
問題になるのは、次の2つの条件がそろったときです。
1)分泌量が多すぎる
2)酸化する
単に皮脂の分泌量が多いだけなら、油(脂)の臭いがするだけです。それが汗などほかの汚れとも混じり、酸化し、安物のポマードや腐ったチーズのような臭いに変化します。
また、皮脂の分泌量があまりに過剰で、脂がしみた薄い皮が皮膚に張り付くようなら、もはや脂漏性皮膚炎という病気です。自然と治ることはほとんど期待できないので、治療を受けたほうがいいでしょう。
30代から臭いがきつくなる理由
30代から臭い始めるのは、すでに皮膚が老化へと向かっているからです。特に女性の場合は、男性ホルモンの分泌が増え、それが皮脂腺を刺激して分泌を増やしてしまいます。
また、人によってはストレスが影響しているかもしれません。仕事や子育てなどに追われるようになると、ストレスを解消する余裕もなく、ホルモンバランスを崩してしまいがちです。これも皮脂が増える原因になります。
ワキガとの違い
「分泌された皮脂が、汗や汚れと混じり合い、酸化することで急に悪臭を放つ」ということであれば、ワキガとほぼ同じです。
ただし、混じってしまう汗の種類が違います。
汗腺にはアポクリン腺とエクリン腺の2種類があります。
アポクリン腺があるのは腋(わき)の下が最大で、あとは股間、耳の穴、乳輪などです。ここから出る汗はたんぱく質や脂質などが高い濃度で含まれています。これが皮脂などと混じり合って酸化すると、ワキガ独特の臭いになります。
なので、「顔面から臭う」といった状況にはなることはあまりありません。
また、ワキガになるかどうかは遺伝でほぼ決まっていて、発症するのは思春期あたりです。なので、「30歳を過ぎたところから、急に臭うようになった」というのであれば、ワキガの可能性は消していいでしょう。
一方、エクリン腺は体中のあらゆるところにあります。ここからの汗は、ほとんどが水分で、ほかの成分はごくごく微量です。確かに酸化・分解されると臭うものの、交じる皮脂の量が普通なら、これはいわゆる汗臭さの範囲です。
特に顔が問題になるのは、顔の皮脂の分泌量が多いからです。なので、皮脂の分泌量が多ければ、顔以外でも同じような臭いがする可能性があります。
顔が脂臭い!女性の場合
女性の場合、さらにこの顔の臭さを悪化させてしまう要因があります。メークや間違ったスキンケアです。
中でも多いのが、ファンデーションで毛穴をふさいでしまうパターンです。
また、脂性肌の人と乾燥肌の人では、より悪化させてしまうのは、乾燥肌の人のようです。というのは、乾燥肌になると、皮膚ががんばってしまって皮脂の不足を補おうとし、通常以上の量を分泌してしまうことがあるからです。
ただ、この「本当は脂性肌か乾燥肌か」は判断がつきにくいようです。臭い以外の肌トラブルでもキーになる点なので、少々手間と時間がかかってもしっかりと見極めたいものです。
顔が脂臭い!男性の場合
男性の場合は単純に皮脂の分泌量が問題になることが多いようです。顔の脂・テカリといえば、40代以降の中年男性の話題が多いものの、実際には30代から始まっているわけです。
顔が臭い!20代の場合
20代で顔が臭いようだと、探ってみなければいけない理由はたくさんあります。
例えば、すでに挙げているメークや間違ったスキンケアです。この年代でメークにこり始めることは多いでしょう。それでいて、スキンケアはあまり慣れていません。また、少々間違ったことをやっても30代40代とは違って、まだ深刻な症状は出ません。とはいえ、皮脂の分泌増にはつながってしまうのです。
あるいは中には生活習慣・食生活が影響しているようなパターンも珍しくありません。「友達とワイワイ飲み歩く」がその典型です、「夜ふかしやお酒の飲み過ぎで肌の調子を崩し、臭いのもとになる皮脂が増えてしまう」といったことがあります。
ほかの美容の面でもマイナスなので、もし顔が臭うようなら、生活習慣・食生活を見直すようにしましょう。
顔が臭い!10代の場合
通常は体臭を気にしなくていいのが10代でしょう。新陳代謝が盛んなのが主な理由です。ただし、中にはその新陳代謝が働いて、皮脂やフケ、汗がたくさん出る人もいます。これで顔や体が臭ってしまうのです。
対策は比較的簡単です。シャワーや入浴を欠かさないようにして清潔を心がけるだけです。
顔が臭いのって病気なの?
糖尿病、肝機能の障害、腎機能の障害などなど、臭いでわかる病気はいくつもあります。ただし、「この病気だから顔面だけが臭う」というものはないようです。
ただし、全身のどこに出てもおかしくない症状がたまたま顔面に出る場合もあります。あまりにひどい場合は医師の診断を受けたほうがいいでしょう。
顔が臭い時は皮膚科に行けばいいの?
診察を受ける場合、診療科はまずは皮膚科です。もちろん、必要があれば内服薬・外用薬などを出してくれるでしょう。
くれぐれも自己判断で、市販薬などを多用するのはやめておきましょう。本当の原因に気がつくのに遅れたり、顔の臭いを一層ひどくしてしまいます。
また、単に皮脂の量が多すぎることによる顔の臭いでも、ちゃんと診察・治療の対象になります。「こんなことぐらいで医者に診てもらわなくても」と思う必要はありません。
部位別で臭さの違いはある?
小鼻の臭いがチーズくさい・・・
ほかの原因による臭いと混同しやすいのが鼻です。蓄膿症など鼻の穴から奥の炎症による場合も、鼻が臭っているように思ってしまうのです。この場合は花粉症の対策でおなじみの鼻うがいをやってみましょう。これでスッキリするようなら蓄膿症などの可能性が高いです。
もし、皮脂によるものであればチーズが腐ったような臭いになります。これも判断の基準のひとつになるでしょう。鼻は特に皮脂の分泌量が多く、中でも小鼻はさらに多くなります。
顔の角栓が臭い・・・
また、適切な洗顔・スキンケアをしないと皮脂が毛穴の中につまり、角栓になります。単に角栓のままなら臭いはきつくありません。
中には顔の悪臭を「角栓が臭っている」と考える人もいて、一生懸命角栓を取ろうともします。しかし、その可能性は低いでしょう。やはり、皮膚の上に付いたままの皮脂に注目したほうがよさそうです。
まとめ
頭皮・頭髪の臭いは気にしてシャンプーなどを工夫している人も多いでしょう。
同じく過剰な皮脂によるものなのに顔の臭いは全く盲点になっていた人もいるかもしれません。
しかし、体臭の問題は非常に微妙です。ほとんど臭っていないのに、臭っているように誤解して神経的に参ってしまう自臭症(自己臭恐怖症)というのまであります。
ただ、顔の臭いの原因となっている皮脂は美容の面からも適切にケアをしておく必要があります。
また、食事内容・生理・運動量などなどその日その日のコンディションによって、皮脂の出方が変わってくれば、臭い方も変わってきます。自臭症には気をつけなければいけないものの、時々は「自分の臭いは大丈夫か」とチェックする必要はあるでしょう。体臭を解決しておくのは、周囲の人に対する大事なエチケットのひとつです。